多分……そう。
向き合うことが一番辛い。
降り続いていた雨の音が、ようやく微かな風の囁きへと変わっていく。
光を取り戻して来た森の中で、夜が明けたことに気付いたギンタは立ち上がった。
ずっと握り締めていたチェーンを戻そうとポケットに手を入れる。
すると覚えの無い何かに触れる。
固い金属質の何か。
取り出して掌に乗せたそれは、アルヴィスに預け、そして再び自分が受け取った鍵のARM。
それ程遠くない、彼に預けた記憶が思い起こされる。
“最後はオレ自身でケリをつけたいんだ”
“大切な人が死んでいくのは確かに辛い。しかし人間は…”
ギンタの目つきが、ゆっくりと変わる。
ギンタはプリフィキアーヴェをポケットに戻した。
同じく掌にあるARMは腰に通す。
しばらく自分の腰元で動くそれを見つめ、照れくさそうに笑う。
そして、真直ぐ歩き出す。
目指すのは、昨夜出てきた城の方だった。
- Until I see his Rainbow.