アルヴィスの七日間の休暇 あとがき

 

 

 

 

…思ったよりも、長編になりました。

書き出すまでだいぶ時間はかかりましたが、その分思い入れのある作品です。

原作最終話のスノウのナレーション時。ギンタが帰った後に、笑顔でアランと話しているアルヴィスのカット。

あの今までのアルヴィスと比べると意外なほど明るい、ちょっとアホっぽくも見える笑顔に至る道程を、いつか書きたいと思っていました。

 

ここで、今回の話でのそれぞれのメンバーの設定と解説を。

 

 

 

①ジャック

原作・アニメ共に、ロドキンファミリーと故郷に戻っていたジャック。

ギンタが最初に呼ばれた土地が、なぜパヅリカだったのか。

以前から考えていた疑問への解として、今回「アルヴィスがパヅリカを選んだ」という設定にしました。

ギンタと出会ったことで変化した、ジャックの生活とも絡めました。

また、同じクロスガードで面識があったであろうジェイクのことを、アルヴィスが覚えてないわけがないので、そちらも。

二人の対等な関係が好きなので、今回会話が楽しかったです。

 

 

②ドロシー

原作・アニメ共に、メルヘヴンの何処かの空を飛んでいる様子だった彼女。

アニメでは最終話、アルヴィスとの会話で彼女以外の魔法使い・魔女らもARM回収に乗り出したことが語られていました。

しかしゲーム「カルデアの悪魔」の二週目のイベント追加シーンで、大ジジ様はARM回収を大勢の魔法使いで取り組むことを進言したチャフィー(イフィーの兄)を、「メルヘヴンを侵略するつもりか!」と叱責していました。

初期にエドが「魔女はカルデアの外に出ることが滅多にない」と話していたので、魔女が大勢動くことは人々に不安をもたらしてしまうため、カルデアとしてはおそらく避けたいところなのでしょう。

 

けれどドロシー1人で負うには、どうしても荷が勝ちすぎる印象の責務。

そのため今回の話では、「ディアナを討ったことでドロシーの任は解かれた」という設定にしました。

あとは本文中にあるように、積極的なARM回収はせず細々取り組んでいる、という設定です。

彼女にもちゃんと自分の人生を生きて欲しい、という思いもありましたので、迷いましたがこのような描写にしました。

 

 

③ナナシ

アニメでギャグシーンのオチはありつつも、原作でもガリアンとの確執はなさそうな彼。

ゲーム「ARM FIGHT DREAM」で、風属性に有利なフィールドであったこと、ナナシ・ガリアンのバンダナをしている理由(それが映える理由)を考えて、「やっぱり風になびいているのが似合うなぁ」と思い、ルベリアには風が吹き付けるという設定に。

ここで、今回ちょっとした遊び心を入れてみました。

 

安西先生の過去作「烈火の炎」で登場した、ナナシにそっくりな人物・ジョーカー。

彼は劇中で「流れる風」と呼称され、麗に所属しつつも自由であるということが強調されていました。

もし、ナナシがジョーカーと同一人物だったら。

「流れる風」だった彼が、ルベリアという一つの場所にとどまることを選んだとしたら。

その対比の意味も込めて、風が吹き付ける場所でありつつも、「風」の対義語に近い意味合いを持つ「凪」という単語も使い、彼が現在いるルベリアという土地を描写してみました。

だから、私の個人的なナナシさんのイメージは、風であり凪でもあります。

そして本文でも書いた敵討ちを絡め、二人に未来への会話をさせることにしました。

 

 

 

④アルヴィス

そして本編中、もっともバックボーンが謎のままだった彼。

以前ブログでも書きましたが、私はアルヴィスの両親は幼少期に亡くなったと考えています。

けれどクロスガードに加わる際の様子からは、悲壮感などは感じられません。復讐や負の気持ちではなく、世界に対する愛情からクロスガードに加わっています。

だからきっと、幸運にも、両親がいなくてもアルヴィスはたくさんの愛情に恵まれていたのだろう、街の人とかが親代わりで、だから余計に自分の周りの世界が好きになったのでは、と私は考えています。

きっと周りには、おそらく同じぐらいの友達もいただろうと、そう思い、今回オリジナルキャラクターとして幼馴染を登場させることにしました。

 

けれど、私の勝手なこだわりとして、アルヴィスと恋愛関係を匂わせるようなものにはしたくない。(ベルもいるし)

そのため、男一人、女一人とアルヴィスの計3人で遊んでいたという設定にしました。のちのち、何となくこの幼馴染二人はくっつくイメージです。

二人の名前を決めてないのもあえてです。その方が「らしい」かなと。

原作至上主義…とまではいきませんが、なるべく原作に寄せることをモットーにしている身として、今回初めてここまで大きなオリジナル要素を加えることにかなりの勇気がいったのですが、この二人のキャラクターが、皆様に少しでも気に入っていただけるものであれば嬉しいです。

 

 

 

 

 

タイトルの休暇が七日間なのは、キリが良いと言うのもありますが、天地創造の七日間に由来しています。

世界に殉ずる戦士であったアルヴィスの価値観が緩やかに変わり、今の自分、そしてこれからの自分を再確認し、形成していくということで。創世記のイメージです。

この単語から、執筆中はGC「創世記Ⅰ」をよくかけていました。

 

 

戦後にメンバーと会うとなると、アルヴィスだけでなく、当然その後のメルメンバーのことも描く必要があったので。

なかなか難しかったのですが、その分書きがいはありました。

 

原作のその後の話は、皆様色々想像されることかと思います。

この話が「あ、それっぽい」と思っていただけたら、読んでいて皆様が少しでもお楽しみいただけるものであれば、書き手としては冥利尽きるところです。

 

 

では、長いあとがきまでご拝読いただき、ありがとうございました。

 

 

2018.8.9